第25回 私流西洋式お風呂の入り方
第25回 私流西洋式お風呂の入り方
西洋式のお風呂に入るのに、今でこそバスタブの外で、身体を洗うような人はいないでしょうが、それでもイギリスの一般家庭のお風呂は、我々にとってはかなり戸惑いの対象です。
林望(リンボウ)先生の「イギリス観察事典」にもそのことは書かれていますが、私のホームステイ先のムーア家のお風呂もかなり使いにくい部類に属します。イギリスの普通の家庭のバスルームにはトイレと洗面台とバスタブが設置されていますが、シャワーがついていない場合が結構あります。おまけにムーア家のバスルームの床はふかふかの絨毯なのです。その絨毯の上におしゃれなバスタブが置かれているのです。
泡だらけのバスタブの中で身体を洗っても、その後、身体の泡を流すシャワーが付いていないのです。
そのために泡だらけのバスタブのお湯を抜き、新たに身体の泡を落とすためにお湯を張るようなことは、夏なら可能でしょうけれども、冬ならば、裸でお湯の溜まるのをバスタブの傍で待っていれば風邪をひいてしまいます。
彼らに言わしめれば、泡だらけの身体をそのままバスタオルで拭いてしまえばよいのだといいます。我々にすればそんなことをすれば、身体に石鹸分が付着して、皮膚に良くないように思うのですが、彼らはそんなことは一向に気にしないようです。小さいときからそのようにしてバスを使ってきたので、何の戸惑いもないようなのです。(そういえば彼らは、食器を洗うときも、洗剤で洗った後、水洗いをせずにいきなりフキンでふき取ってしまう)
そこでイギリスでの私流のお風呂の入り方を披露しておきましょう。
まずお風呂にお湯を張る前に、洗面台にかなり熱いお湯を適量に張っておき、タオルを1枚入れておきます。それからバスタブにお湯を張りながら、洗面台とバスタブの間にバスタオルを広げ、道を作ります。バスタブにお湯が溜まれば、もう一枚タオルを使って、バスタブの中で、泡を立て身体を洗うわけです。洗い終われば、先ほど敷いておいたバスタオルの上を歩いて(絨毯をぬらさないため)洗面台に行き、浸かっているタオルを絞って(このころには熱湯もさめてちょうど良くなっている)身体を濡れタオルで拭きます。(身体についた石鹸分を落とすためである)そして最後にようやくバスタオルで身体を拭いてしまいます。
この方法には、普通のタオル2枚とバスタオル1枚が必要となります。(幸いなことに、ムーア家のバスルームにはタオルだけは、十分にいつも用意されています。)
もちろんシャワーのついたホテルなどを利用される方は、このような苦労をされる必要はないと思うが・・・。
このエッセイは10年以上前に書き上げたものですので、現在の状況と違う点があるかも知れませんがご了承下さい。