第26回 イギリスの田舎のパブ
第26回 イギリスの田舎のパブ
ロンドンのパブには入ったことがありませんが、私は田舎のカントリーパブが大好きです。日本では飲み歩く習慣の全くない私ですが、イギリスの田舎のパブは、日本の酒場とは全然違う存在なのです。
そもそもパブとは、パブリックハウスの略であって、一般の家庭が、プライベートハウスであるのに対して、パブはみんなで楽しめる共通の家のような存在なのです。
日本のバーなどは素面(しらふ)では馬鹿馬鹿しくて耐えられないけれども、イギリスのパブはいわゆるコミュニティーセンターのような役割を担っていて、子供連れでやってきて、食事だけする人も結構多いのです。そこでは土曜日ともなれば、近所の人たちが集まってきて、食事や、ビールを飲みながら、生演奏を楽しんだり、雑談や、世間話を交わし、情報を交換する場所であるわけです。
またパブの親父さんは、たいていは人懐っこくて、世話好きの人が多く、やってくる人達も人のよさそうな、お爺さんや、犬を連れたお婆さんがいたりして、すこぶる雰囲気がいいものです。店の一部がたいていはカウンターになっていて、そこでビールを注文するときは、代金をその場で支払うのが原則となっています。また部屋の片隅は、暖炉になっているのが普通で、その周りには、真鍮で作られたいろんなオーナメントが飾られています。また壁にはウオールランプが灯りをともしていて、馬具なんかがかけられていることが多くカントリーパブの雰囲気がとても楽しいものです。
またパブごとに独自の醸造元を持っていて、それぞれ味の違う地ビールをたのしめるのも特徴です。
(左・筆者、右・同行者の泉氏)
このエッセイは10年以上前に書き上げたものですので、現在の状況と違う点があるかも知れませんがご了承下さい。
イギリスのパブ