第3回 北イングランドへの旅
第3回 北イングランドへの旅
(コミュニケ1999年6月号掲載)
(ビジネスパートナーのジャックと)
1993年5月、イギリス大使館より、かねてから知人を通じて北イングランドのアンティークディーラーの紹介を依頼していたところ、FAXが送られてきました。早速、先方に返事のFAXを送って相手の都合を伺い、6月上旬にマンチェスター空港で会う約束を取りつけました。
ロンドンのヒースロー空港から国内線でマンチェスター空港までおよそ1時間。飛行機が到着して手続きを済ませると、一人の小太りの白髪の男性が近づいてきて「君はミスター嶋村か?」と尋ねてきました。「そうだが、貴方はジャックか」と答えると「日本人らしき人物は君だけだからすぐわかったよ」との返事が返ってきました。
確かにロンドンでは、いたるところで日本人観光客に出会あいますし、また観光客目当てのショップも多く、安くて品質の良いアンティークを見つけることは至難の技ですが、さすがにここまで来れば、一週間の旅の間で、一度も日本人に出会わないということも希ではないのです。ジャックが私のためにすでに、B&B(ベッドと朝食のついた宿)を予約してくれており、彼の車でそこへ向かいました。
ロンドンのB&Bを知っている人は、狭くて汚い安宿を想像するかも知れませんが、田舎のB&Bはたいていはパブを併設しており、中には数百年も前の立派な建築物であることも多く、プールまで備えているところもあるほどです。
6月のイギリスは一年中で一番良い季節です。見渡す限りの緑の草原の間をハイウェイが走っており、羊や牛が草を食む様子は牧歌的で、まさにおとぎ話の世界の中にいるようで、気分は実に爽快です。
イギリスの天候は、一日の中に四季があると形容されるくらいで、晴れているかと思うと突然曇りだし、大雨になったりします。また、暑いと思っていると急に冷え込んで、ジャンパーがいるようになります。しかし6月だけは比較的気候も安定しており、そのため結婚式もこの時期が一番多く、まさにジューンブライドの由縁が理解できます。(日本では一番雨の多い季節であるのにこの習慣を真似したがるのは、何故だろうか?)