第6回 ハワース付近
第6回 ハワース付近
(コミュニケ1999年9月号掲載)
ホームステイ先のジャックの家から、車で10分ほどの距離に「嵐が丘」や「ジェーンエアー」の作品で知られるブロンテ姉妹の暮らしたハワースがあります。私の買い付けの行動範囲は、この辺りを中心として車で周囲3時間程度の範囲内といえます。町の名前で言えば、マンチェスター、ランカスター、プレストン、サウスポート、リーズ、ハリファックス、ペンドル、コーン等になります。
ハワースは、ペニン山脈の麓の小さな村で、1時間もあれば歩いて一周できるほどの広さですが、鉄道の駅もあるため日本人観光客にもたまに出会いますし、みやげ物店には「いらっしゃいませ」と日本語の看板も見受けられます。そして、ショップに入ってみると、たいていはポプリや絵はがき、キャンドル、石鹸などが店内にはディスプレイされており、お土産に買って帰ると、ご多分にもれず・メイド・イン・チャイナ・であったりして、後でがっかりすることがあります。
エミリー・ブロンテの「嵐が丘」の舞台となったムーア(荒野)は、典型的なこの地方の地形で、樹木はほとんど生えておらず、土地は泥炭質のため非常に排水が悪く、湿地が多く、うかつに歩き回ると危険な場所も少なくないのです。またところによっては、大きな岩がごろごろと転がっていたりもします。
ペニン山脈の一部にペンドル高原がありますが、ここは中世の魔女伝説が今も残っています。ペンドルのパブに立ち寄った時に、天井から箒(ほうき)に乗った魔女の人形が飾られておりビックリしたのを覚えています。ここにあるペンドルアンティークセンターでは毎回かなりの量の家具を買い付けます。ここのオーナーのウォルターは、九州のアンティーク家具の業者のビジネスパートナーで、ちょうど私とジャックの関係に似ています。
そういう訳で、彼の所で時々、日本向けのコンテナの積み込み作業を目撃することもあります。そんな時は、参考までにどんな商品を積み込んでいるのか、商売意識を出して覗き込んでみたりします。
(左・ハワース石畳の道、 右・ブロンテ姉妹の父親が、牧師をしていた教会)